農業コミュニケーターとして活動されているmaru communicate主宰のきひらまりこさんに、名古屋芸術大学のライフスタイルデザインコースで短めのワークショップをお願いしました。
きひらさんが近年取り組んでいる「VPA (Visual Problem Appraisal )」=視覚的問題評価。
これは環境問題など、さまざまなステークホルダーの利害が絡み合う複雑な問題について、インタビュー型のドキュメンタリー映像を使って、「映像中」の利害関係者に会い、話を聞きに行き、彼らの語っていることを手掛かりに改善案や解決案を提案するという、シミュレーション型のワークショップです。
今回は浜名湖のアサリが年々減少している、という問題について、きひらさんが事前に取材して用意してくださった漁業関係者や自治体担当者、観光業従事者など、合計7名の方のインタビュー映像を使用しました。
学生たちは3〜4名のグループに分かれ、映像を見る前に「浜名湖」「アサリ」「減少」などをキーワードにデスクトップリサーチ・分析(=スコーピング)をしてから、どんなところに問題があるか仮説を立て、その仮説の検証のために必要な情報を持っていそうな人を選んで映像を視聴ます。
一人目のインタビュー映像を見終わった後、インタビューで明らかになったこと(ならなかったこと)を踏まえて次に誰の話を聞きたいか検討し、二人目の映像を視聴します。
こうして時間の許す限りこの作業を繰り返しますが、今回は最多で3人のインタビューを視聴できました。
それぞれの人が、聞きたかった話題に触れていなかったり、触れていても予想と違う内容だったり、はたまた新たな事実がわかったりと、作業を進めていく中で当初の課題設定が本当に妥当だったかということも、検討の対象になったりします。
今回は約3時間という限られた時間の中でスコーピングとインタビューを行ったこともあり、やや駆け足になってしまいましたが、各グループともそれぞれの「切り口」を設定して、最後の「提案」まで辿りつくことができました。
実際のフィールドサーベイでは、それぞれのプロセスをより時間をかけて行うことができますが、情報収集から問題点の設定、具体的な提案までの流れを疑似体験する貴重な機会になったのではと思います。