二俣地区からバスに40分ほど揺られて、浜松市中心部へ移動。こちらでは、市の文化施設である鴨江アートセンターとその向かいにある木下恵介記念館を訪ねました。
鴨江アートセンターの建物は、もともと1928年に静岡県の浜松警察署庁舎として建てられた建物物。第二次世界大戦中の浜松空襲、東南海地震をくぐり抜け、1970年まで警察署として実際に使われていて、建築空間としても面白みのある施設です。
アートセンターのスタッフである澤柳さんが、そんな建物の歴史や建築的な特徴を交えながら、施設の案内をしてくださいました。
続いて、お向かいの木下恵介記念館へ。こちらは、1930年(昭和5年)に中村與資平の設計により「浜松銀行協会集会所」として建設され、1998年に国の登録有形文化財に、その後、浜松市指定有形文化財「旧浜松銀行協会」となった建物です。外観・内観とも、スペイン風の装飾や様式が取り入れられているのが特徴だそう。
鴨江アートセンターが、市の建築系の職員が設計した純粋な公共建築であるのに対し、向かいの木下恵介記念館は設計者の名前が明らかになっていて、作品性を帯びた建築であるという対比が興味深かったです。
どちらも、個人的に利用したり立ち寄ったりしたことのある場所でしたが、改めて説明を聞くと意外と知らなかったことがたくさんあり、ちょっとした時間ながら、今回のようにその場所についてのインフォメーションを得る機会の大切さを実感しました。
説明を聞いたあとはフリータイム。両施設の展示を見たり、建物を離れて浜松の街を探索したりして、帰りのバス出発の時間まで思い思いに過ごしました。
集合時間が近くなるにつれ、みんな少しずつアートセンターのロビーに集まってきて、時間までゆったりと寛いでいる様子。市民の方の寄付だというレコードを、自由にかけて聴けるコーナーがあったり、数人で打ち合わせやおしゃべりができる椅子とテーブルがあったり。誰もがただそこに滞在することができる、用途を限定しないロビー空間が1Fのエントランスだけでなく2Fにもあることが、このアートセンターの最大の魅力ではないかと思いました。
日帰りの1日ツアーということで、あっという間でしたが、大学とは異なった環境の中、社会でものづくりや芸術・文化活動に携わる人たちの話を聞いたり、学生同士、共に時間を過ごしたりしたことが、彼らの学びや刺激になったら何よりです。