thoughts #005 地域で異なる水事情 ー 節水都市 福岡を訪ねて_2

福岡滞在中に「海水淡水化センター(まみずピア)」を見学させていただきました。

海水を淡水化する施設ですが、生活水用のものは国内で約40箇所あります。そのうち、大規模なものは福岡市の「まみずピア」(5万立方メートル/日)と沖縄県の北谷(4万立方メートル/日)の2カ所で,残りは千立方メートル/日以下の小規模なものです。

まみずピアは福岡市の中心部から40分ほどバスに乗り、最寄りのバス停から数分歩くと到着します。入り口に入ると、トマトの苗木が。この施設で淡水化された水を使って栽培しているそう。

ぶどうのように棚に仕立ててあり、どこからどのように枝が伸びているのか…。こんなに大きくなるんですね。

しばらくして予約の時間になり、見学エリアへ。最初に動画を見ながら施設の概要について説明を受けた後、施設内に案内していただきました。管理室は24時間の交代制でスタッフの方が装置を監視しています。

実際の装置。

案内してくださったスタッフの方によると、福岡市の人口増加だけでなく、近年はインバウンドの影響でホテルなど宿泊施設での水道利用も増え、水道水の需要は増加しているとのこと。確かに、旅行者が滞在している間、必ずその土地の水を使います。

水という物質が生命維持に不可欠だということを考えれば、当たり前といえば当たり前ですが、昨今話題のオーバーツーリズムが、水資源が限られた都市においては水道水の安定供給にも影響しうるということですね。

海水は豊富にあるものの、やはり淡水化にかかるコストは河川水を浄化するよりもかかるそうで、まみずピアでもなるべく河川の水を有効活用し、必要以上の水を淡水化しないように計画的に運用しているとのことでした。特に近年は電気代などの高騰で淡水化のコストが上昇傾向にあるそうです。

海水は施設から約640m離れた沖合に埋め込まれた取水口から採取されているそうです。埋設当初は、取水口に不具合が生じるさまざまなケースを想定していたそうですが、20年経った今振り返ってみるとほとんど問題なく使えているそうで、設備の形式や工事のやり方とこの辺りの海域の環境がとても相性が良かったのではないかと、話してくださいました。

まみずピアの工事を担当した会社には海外含め、他の地域でも淡水化施設建設の相談があるそうですが、いかんせん環境が異なるため、同じやり方で工事をしたとしても、上手くいく保証がないとのこと。自然相手なので、この辺りは難しいところです。

こうしてできた淡水は、河川などから作られた水と混ぜて、各地域へ配水されているそうです。

福岡市民の節水意識についても教えてくださり、小学生などもこの施設の見学に訪れるそうです。

日々の水道水はどれも同じように見えますが、こうしてさまざまな水源と技術を組み合わせてできているのだと思うと、つくづく私たちは自分たちが口にするものについて何も知らないのだと、思い知らされます。