市橋美佳 作品集『月ピンクひまこれっきりすきなものは』

陶芸家・市橋美佳さんの作品集のブックデザインをさせていただきました。

タイトルの “月ピンクひまこれっきりすきなものは” というテキストは、市橋さんによる俳句。本の中では、作品と対をなして鈴木しづ子さんの俳句が登場するのですが、その中の1句、「好きなものは玻璃薔薇雨駅指春雷」という句への市橋さんからのアンサーソングとのことです。

しづ子さんが俳句を詠んでいたのは、今から約70〜80年前の10年間ほどで、当時はインターネットはもちろん、テレビや映画館、テーマパークなんてものもなく、毎日を生きていくのに精一杯な人たちが大半だったのでしょう。

そんな時代でも、紙とペンさえあれば詠むことができる俳句。しづ子さんにとって、俳句はどんな存在だったのか? しづ子さんはどんな風景を見ながら俳句を詠んだのか?

…などと、いろいろと空想しながら現代を生きる市橋さんの作品を見てみたり。

二人の句・作品を通して、二つの時間と空間を旅することができる、そんな1冊を目指してデザインしました。

【限定300部】
市橋美佳 作品集 『月ピンクひまこれっきりすきなものは』

俳人・鈴木しづ子による俳句19句を市橋みずからが選び、それらをインスピレーションとして制作・セレクトした陶芸作品30点とを組み合わせた作品集。しづ子の見ていた風景や心象を想像させるかのような作品たちと、しづ子のことばたちで構成された、物語のような1冊です。

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市橋美佳 (いちはし みか)
陶芸家/1972年岐阜市生まれ。生活用品の企画デザインの仕事を経て、多治見市陶磁器意匠研究所を修了。独立し器の制作を続ける。その後「記憶の中の情景は個別の時間が流れている」と思い描くようになり陶板や鳴リモノなど想像を形にする。
URL: ichihashimika.site
Instagram @ichihashi_mika

鈴木しづ子 (すずきしづこ)
1919年6月9日、東京神田生まれ。俳人。戦時中は岡本工作機械製作所、戦後は東芝府中工場に製図工として勤務。俳句は1943年頃から「樹海」に依り、主宰の松村巨湫に師事。48年に職場結婚するが、一年余で離婚、ダンサーとなり、駐留米国黒人兵と同棲。53年、岐阜県各務原から失踪、その後の消息は不明。

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発行日:2021 年 9 月 10 日
企画・作品制作・選句:市橋美佳
俳句:鈴木しづ子
構成・編集:市橋美佳・小粥千寿
写真:関谷亮子
ブックデザイン:小粥千寿
発行所:ギャラリーあ(天野寛志建築計画事務所)

ページ数:156ページ(本文152ページ)
サイズ:172x243mm
製本:並製本(無線綴じ/ドイツ装)
発行部数:限定300部(市橋美佳サイン入り)
希望小売価格:5,940円(税込)

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