exhibition “Our Food” – DAIKON –

photo by 青木遥香

 

わたしたちのたべもの展 ー大根編ー Exhibiton “Our Food” – DAIKON –

概要

白く大きく、どんな色にも染まり、お手頃価格にして食べごたえがあり、おろしから刺身のツマ、おでん、漬物から切干まで、変幻自在に私たちを楽しませてくれる。そんな究極の「ふつうの野菜」・大根。いつも当たり前のように食べることができると思い込んでいた大根について、ある農業関係者から「最近は農家に人気のない野菜なのだ」という話を耳にします。その言葉の意味が気になり、かつての漬物大根の一大産地、渥美半島の田原市六連町(むつれちょう)へと向かいます。

ところが、そこで私たちが目にしたのは、一面のキャベツ畑。「大根はどこへいったのだろうか?」という素朴な疑問を出発点に、六連町でのフィールドリサーチがはじまりました。

フィールドリサーチでは、4人の元・大根農家で現・キャベツ農家と、1人の現役大根農家を訪ね、彼らの口から語られる大根づくりにまつわる話を丹念に記録していきました。幼い頃の六連町の風景、一家の歴史、漬物大根から青首大根、キャベツへの変遷、大根の収穫や出荷作業のことなど、5人の農家たちの、記憶をたどりながら紡がれる言葉を拾い集めていくと、この町の風景が時の流れとともにじわじわと目の前に現れてきます。

今回の展示では、そんな六連町での消えた大根と栄華を極めるキャベツにまつわる物語を、彼らの言葉や六連町で撮影した映像や写真を中心に展示しました。

また、未来編として、六連町でのフィールドリサーチをもとに、大根の未来についても考察。重くて安い、つまり、労力のかかる割にお金にならないという大根が、より付加価値の高い作物として生き残っていくための、ひとつの提案を形にしました。

六連町の現役大根農家は、二等品や収穫しすぎた大根を切り干し大根に加工し、販売することで、大根農家としての経営を成り立たせているそうです。切り干し大根は、生の大根に比べて栄養価も高く、保存がきき、漬物のように塩分が高いわけでもないので、最近の健康志向の食生活にも取り入れやすい食品と言えそうです。展示では、大根をさまざまな切り方で切り干しにしたサンプルを並べ、新しい切り干し大根の可能性を提示しました。

 

 

企画・制作:Chizu Ogai / Hanae Shimizu
リサーチコーディネート:maru communicate
リサーチ期間:2016年11〜12月
展示会場:ギャラリーあ(静岡県浜松市)
展示期間:2017年3月18日ー4月2日

photo by 青木遥香 / Chizu Ogai

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