「わたしたちのたべもの展 ー大根編ー」を終えて

浜松市中区の[ギャラリーあ]での「わたしたちのたべもの展 ー大根編ー」が無事に終わりました。

会場にお越しくださった皆さま、誠にありがとうございました。

大根をテーマにすると決めてから間もなく、あちこちから聞こえてきた「大根を作る農家さんが減っている」という噂。そして、コーディネイトをお願いしたmaru communicateのきひらさんの紹介で訪れた愛知県田原市での大根生産を取り巻く変遷や現状を知り、一気に大根展の”切り口”が決まりました。

六連町(この展示の企画を始めてから、「六連町」を変換登録しました)の大根農家さんの話を聞いて、いつでも手軽に買える野菜だからこそ、生産する側の難しさもあるのだと、改めて感じました。大根だけでなく、どの食べ物にも言えることかもしれません。

六連町のストーリーは、日本での大根生産のほんの一面だと思いますが、その一方で、六連町の人たちにとっての現実であることもまた事実です。現役の大根農家さんや元・大根農家にして現・キャベツ農家さんから聞いた話は、どれも同じような内容なのですが、その中に、それぞれの人の物語がありました。

収録したインタビュー動画を見ているうちに、農家さんの口から紡がれる豊かなフレーズにも、すっかり魅了されました。特に、展示でも〆の言葉として使わせていただいた、『キャベツ農家2』さんの「もう色気がない」発言には脱帽。作物を育てることにも、その作物との恋の駆け引きにも似た何かがあるのかと、ハッとさせられました。太古の時代の神話や神々の姿、土器や土偶などもそうですが、人間と自然との関係性は、いつの時代もどこか色めいているのかもしれません。少し話が大げさかもしれませんが。

実際のリサーチは、強風が吹き荒れる12月半ばに、六連町の農家さんを訪問し、畑を前に1人あたり30分〜1時間ほどお話を聞くというものでした。「わざわざ来なくても、電話でいいのに」とおっしゃる農家さんの言葉をよそに、忙しいところを半ば無理やり訪ねて行った私たちに、たくさんのお話をしてくださったことに、とても勇気づけられました。
展示会場では、皆さん帰り際に「次は何?」と口々に聞いてくださいました。次回のテーマは未定ですが、今回とはまた違う形で、身近な食べ物のストーリーをお届けできればと思います。

ぜひお楽しみに。