「FOOD & BABY 世界の赤ちゃんとたべもの」展の展示デザインの一環で、世界の離乳食を15種、つくりました。
毎日1、2レシピを、インタビューやメール取材での発言内容と、その他ネットから得た情報も合わせて、なんとかそれらしく作っていくという作業を、2018年の暮れから2019年のお正月に行いました。日本をはじめ、アジアはお米系のレシピが多かったのですが、肉類、豆類、くだもの、野菜など、赤ちゃんに食べさせる食材は多種多様。人種にもよるのかもしれませんが、赤ちゃんって、意外に何でも食べられるのかもしれません。
離乳食を作っていて改めて感じたのは、料理は人間の消化器官でおこなう消化活動をアウトソーシングしているということ。胃や腸での消化がよりスムーズになるように、食材を細かく切ったり、加熱して柔らかくしたりすると、それだけ体への負担は減ります。消化はエネルギーを使うとも聞いたことがあるので、食べること自体が、体力がないとできないのです。
赤ちゃんは特に、消化器官も未発達で体力もない。だからその分、「料理」という作業外注の割合が大きくなるのでしょう。
野生動物は、料理は基本的にしないので、消化に使う時間とエネルギーも大きい。人間は料理をすることで、消化活動から解放され、経済・文化などの活動に時間とエネルギーを注ぐことができるようになったのでしょうね(と、何かの本で読んだ記憶があります)。
ところで、アジアやアフリカの離乳食で、穀物を粉状にしてお湯で練り上げたものがいくつかありました。(写真はその中の一つ、ガーナの「TOM BROWN」という料理。)食べ慣れていないということもあり、正直「おいしい」とは感じなかったのですが、普段私たちが食べているパンも、もともとはこんな風に粉を水で練ったもの。それを発酵させて焼くというプロセスを経ると、あんなに香ばしくおいしい食べ物になるのですね。パン好きの人間として、パンを発明(発見?)したはるか遠い祖先に、改めて感謝の念が込み上げてきました。