浜松市の天竜地域を拠点に、森林教育や天竜材を使ったものづくりなどの活動をされているMORI・IKU(もりいく)さんの、オリジナルトートバッグの絵柄をデザインさせていただきました。
代表の山田真弓さんは元々、学校教員をされていた方で、その後、林業の世界に入り、現在はフリーランスのフォレスターとして活動されています。林業というと、木を切る「きこり」の方々を思い浮かべる方も多いと思いますが、フォレスターは森林の整備計画や管理に携わるお仕事だそうです。50年、100年と世代を超えて守り育てていくことが重要な林業の世界では、長いスパンで未来の森林のあるべき姿を描き、それに向けて今必要な管理方針を提案していくフォレスターは、とても意義のある役割ですね。
MORI・IKUさんが現在力を入れているのは、地域の学校教員の方々や児童・生徒向けの北欧型森林環境教育「LEAF(リーフ)」の講座開催。
「LEAF」とは、1983年に北欧の森林業界が、森林産業の普及啓発のために開発したプログラムで、現在20以上の国や地域で取り入れられているそうです。文化的、生態学的、社会的、経済学的に関わっている森林の役割すべてについて考えるプログラムを通して、子どもたちの環境意識の向上と、環境教育に関わる教師の育成を目的としています。
※日本では【特定非営利活動法人 FEE Japan】がLEAFを含むFEEの環境教育プログラムを運営・実施ししています。
(FEE:環境教育を通じて持続可能な発展を目指す非営利団体)
FEE Japanウェブサイト▶http://feejapan.org
代表の山田さんはLEAFのローカルインストラクターの資格を取得し、地元天竜の山林をフィールドに、自然の中での遊びを通して森林を守り育てていくことの大切さを伝えています。
バッグのモチーフになっているのは「木」ですが、実はここに描かれているのは森の一部。
最初にデザインを提案した時は、こんな感じで、「雨」・「落ち葉」・「土」・「川」など、森の中で循環するものを描きました。森の中では、有機・無機問わずいろいろなものがさまざまな形で関わり合い、めぐることでバランスを保ち、その環境が維持されているのだと思います。
また、自然の森林というと、柔らかでやさしいイメージを持たれがちですが、分子レベルでは分解や結合を繰り返している、森の複雑で精緻な営みを伝えたく、直線を多く使った無機質なデザインにしました。そして、人の手によって規則的に植えられ、管理されている天竜地域の人工林の、どこか直線的な雰囲気ともしっくり合うのではと思います。
今回は森のイメージを象徴的にあらわす「木」のモチーフを使用しましたが、今後のMORI・IKUさんとのものづくりの中で他のモチーフも登場させられたら、と思います。
バッグは、まずは11/11に静岡県立森林公園で開催されるMORI・IKUさん主催の「森○(もりまる)」にて販売されるとのこと。お近くの方はぜひお出かけください。詳細は森○のオフィシャルブログをご覧ください。
収益はMORI・IKUさんの活動費として森林環境教育や天竜材のものづくりに活かされるそうです。