11/10〜11と、瀬戸内海最大の島、淡路島を訪ねました。今回は私自身のプロジェクトではなかったのですが、ご縁があって、初日は南あわじ市の特産品である「瓦(かわら)」の工場やその周辺の資料館などを見学させていただきました。2日目は同じく、南あわじ市に住む大学の後輩の案内で、島にある照葉樹の森を少し見ることができました。
淡路島で瓦の生産が盛んなのは、南あわじ市の津井というエリア。大小さまざまな瓦工場があるそうです。工場それぞれ、得意とする瓦の種類があるそうで、訪ねた3つの工場を比べただけでも、エリアの中である種の分業化が見て取れました。
瓦にはもちろん淡路の土が使われており、加えて、かつては島にたくさんあった松林から松の葉を集めて、瓦をいぶす際に使っていたそうです。松葉でいぶすことで、淡路瓦独特のいぶし銀が生まれることからも、瓦づくりは、まさに島の風土と密接に絡んだ生業でした。ただ、ガスの普及とともに、松葉によるいぶしは行われなくなり、その影響もあって、淡路島の松林は人の手が入らなくなり、次第に荒れていったとのこと。
その後、松林が後退し、かわりにウバメガシやヤマモモを主体とした照葉樹の森が広がっていったのだと、2日目に案内をしてくれた後輩から聞きました。淡路島のような規模の島だと、人の暮らしと土地の植生の関係性が比較的近く、どちらかが少し変化しただけでも、目に見えて両者のあり方にダイレクトに影響するのだということが、二日間を通してよくわかりました。
松林がなければ、生業としての瓦づくりが成熟せず、また、時代の流れにともなう瓦づくりの変化が、松林から照葉樹林への植生変化をもたらした。
淡路島は海に囲まれ、大きな川はありませんが、島全体が、ある意味ひとつの「流域」なのだと感じました。